新年のご挨拶とご報告

どうも、英司です。
陽のあたる場所へ―A PLACE IN THE SUN―をご覧の皆様。
新年あけましておめでとうございます。

2014年は、非常に充実した1年となりました。
これもひとえに、いろいろな方々が一緒に楽しい時間を過ごしてくれたり、ブログ関係では応援や共感のコメントやメッセージをくださる方々のおかげです!

2015年も善き一年にしていけるよう、精進してまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

■並びに、ご報告  DMMニュースにて連載を持つことになりました

また、2014年12月よりDMM.comが運営するニュースメディア「DMMニュース」にて、わたくし英司が連載を持たせていただくことになりました。

DMMニュース→http://dmm-news.com/

既に第1回目の記事と第2回目の記事は公開されています。

第1回目記事はこちら
第2回目記事はこちら

もうじき第3回目の記事も公開されます。

こちらの連載は「ゲイリーマン発 日本のリアル」というタイトルでして、ゲイとしての視点を意識しつつも、働く人の1人として、社会、経済、マネー関係のネタを中心に書いて行く予定です。

様々なLGBT向け媒体や記事がありますが、レインボーカラー一色のコンテンツとは一味違った内容にしていければと思います。


■個人的なこと

2015年がいよいよ始まったわけですが、ここ数年は思い出に残っていることを思い返しているとき、やたらとその登場人物が多いことが特徴です(笑)

年齢を負うにつれて知り合う人もどんどん増えて行って、公私ともに様々な場面で余裕が出てくるのもこの時期ですからね。

僕にとっては今年の2月にいよいよ30歳を迎えます。30代の仲間入りを果たす年が訪れたわけですね。
このブログを始めたのが25歳のときで、これから突入するアラサー世代に自分が何を考えていたかを記録するために始めたわけですから、なんだか感慨深いものもあります。

いろいろな人が回顧するときに言われることですが、もっと若い頃に想像していた30歳ってもっと大人(っていうかオジサンw)のイメージでしたが、なんだか気持ちはいつまでも20代のままだし、事実、天変地異でも起きて世の中がひっくり返ることさえなければ、10代の頃も20代の頃も「今この瞬間」と陸続きな記憶なわけですから、こういう感覚は当たり前と言えば当たり前なのかもしれません。

自分自身、30代の自覚とか覚悟とかの面でまだ不安なこともありますが、一つだけ確実に言えることがあります。それは

30代の仲間入りを果たすのが楽しみ。と思えていること。

周囲を見れば、生き生きと暮らしている30代の友人がたくさんいます。
仕事も遊びも目一杯楽しんでいて、自分も何年か先にこんな生活を送りたいな、そう思える人が自分の周りにけっこういることは、本当に恵まれていることなんだと思います。今の自分は、なんでもないことにありがたみとか感謝とか、もっと感じ取らないといけないのかもしれません。

こうした「何気ない日常への感謝の気持ち」昔は大切にしていたはずなのに、最近どうだったかと自問すると、それができていたかどうかは自分ではわかりません。
というか、「できていました!」と堂々と言えないのが正直なところ。

仕事でも20代前半の頃よりもずっと多くのことができるようになって自信がついてきた反面、どこかで手の抜き方も覚えてしまっていたり、プライベートでも友人関係の広がりにかこつけて、1人1人との関係がなんとなく薄くなったりと。

今年はある種、20歳前後のときにもっと大切にしていた気持ちや心構えを少し思い出すべきときかもしれません。


仲が良いとふざけて年上の友達に飲み屋で「うるさいなオバサンwww!」とか言っちゃうこともありますが(笑)、貴重な人たちに囲まれて暮らしているということ、忘れないでいたい年にしていきたいと思います。

フ、フランス映画社が…。

どうも!英司です。
朝晩はもうコートが必要な気温になり始めてきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

■フランス映画社 ついに破産…

主にヨーロッパの名画を配給していた配給会社「フランス映画社」がついに破産したとか…。
世の中は今、高倉健さんのご逝去の話題でもちきりですが、僕はこちらも悲しいです。

僕が本格的に映画の世界にハマり始めたのは高校生の時です。
初めてまともに見たミニシアター系映画は、ドイツ人の映画監督ヴィム・ベンダース氏による、あるホテルを舞台にした作品『ミリオンダラーホテル』でした。

【ミリオンダラーホテル トレーラー】


独特の気だるい世界観にマッチしたU2の音楽、どこかミステリアスなヴィム・ベンダース監督の撮る映像…。
当時、田舎の県立高校に通い、小さな世界で毎日同じような生活を繰り返していた自分にとっては、海の向こうの鬼才たちが結集して、見たこともないような独創的な世界観を作り上げる「映画」というものにえらく感激しました。

その後、同じくヴィム・ベンダース監督の代表作と呼ばれる作品に出会います。それこそが「ベルリン、天使の詩」でした。

【ベルリン、天使の詩 トレーラー】


この作品は1987年公開で、西ドイツで撮影されたもの。
ドイツがまだ東西に分断されていた頃の作品で、ヴィム・ベンダース監督が世界的に名を馳せる存在になるきっかけとなった作品でした。

この作品が、フランス映画社の手によって西ドイツから日本にもたらされた作品だったことによって、僕も「フランス映画社」という配給会社の名前を知ることとなりました。

その後、大学に入ってからは自主制作映画のサークルに入り、日比谷のミニシアターでもアルバイトを始めます。今まで以上に周囲にコアな映画や演劇ファンの友達が増えるにつれて、傑作と言われる作品の情報も入ってきました。

最初に好きになったドイツのヴィム・ベンダース監督をはじめ、ギリシアのテオ・アンゲロプロス監督、米国のジム・ジャームッシュ監督、フランスからはジャン=リュック・ゴダール監督などなど、それぞれに独創性があって、ハリウッドの大作映画のような商業ベースでの大成功は目指せないものの、国や文化を超えて、海を渡ってでも紹介されるべき佳作を「BOWシリーズ」(Best Of the World)と名付け、日本に紹介したのが他でもなくこのフランス映画社でした。

日本には既に黒澤明監督や小津安二郎監督と言った、世界的に評価される監督がおり、彼らもまた、ヨーロッパの映画に強く影響を受けていました(そしてヨーロッパの映画監督たちに影響を与えてもいました)。ですので、フランス映画社が配給する良質なヨーロッパの映画がそれなりに支持される土壌が日本にはきちんとできていた面もあり、一定数の映画ファンの心を掴むことに成功したフランス映画社は文化面でも商業面でもそれなりの成功を収め、永きに渡り戦後日本の映画文化に多大な貢献をしてきたのだと思います。

■2000年代中盤の、最後のミニシアターブーム

僕がちょうど大学生だった2000年代前半~中盤は、東京で最後のミニシアターブームだったと記憶しています。
ビルの小さなテナントを借りた小型の劇場が、特に渋谷を中心に無数にできていた頃で、この当時のミニシアターブームの牽引役は若い日本人の映画クリエイターたちでした。

岩井俊二監督や行定勲監督、犬童一心監督など。何気ない日常をお洒落に、少しセンチメンタルに描く彼らの作風もまた、やはりフランス映画社が配給してきたヨーロッパ映画の影響を強く感じさせました。

こうした若いクリエイターが中心となった日本人監督の活躍によって無数にできたミニシアターは、フランス映画社に代表されるようなヨーロッパの良作を上映するのにもちょうど良いサイズで、この時はあちこちで日本やヨーロッパの素晴らしい作品に出会えたものでした。

■シネコンブームが訪れ、ミニシアターの時代は終わりました

しかし僕が大学を卒業した2007年頃から、それまで地方のロードサイドにしかなかった「シネコン」なるものが都心の再開発地域に次々と造られ始めたのです。

特に都心のシネコンの特徴は、100席~150席くらいのスクリーンを保有している点。
これは明らかにミニシアターに流れていた客層を狙ったものでした。

結果、ミニシアターの中でも、一部の"まぁそこそこの商業ベースには乗りそうな映画"だけは生き残り、100席未満の劇場でないと採算が取れなかったようなコアな作品は行き場を失い始めました。

こうした背景から、都心にあったミニシアターは次々と閉館に追い込まれ、上映する場所をなくなったヨーロッパ映画系の配給会社は次々と倒産。そしてついにヨーロッパの素晴らしい映画を日本に紹介し続けていたフランス映画社が破産という時代が来てしまいました。

時代の流れとは言え、非常に悲しいものがあります。

最後のミニシアターブームだった学生時代は、「○○の作品を見に行く」という感覚ではなく、「○○の映画館に行けば良い作品に出会える」という感覚で映画を見に行っていたし、実際、ミニシアターのオーナーや配給会社のセンスを支持して作品を選んでいた面もありました。

何より、僕が社会人となり、広告や宣伝、PRの仕事をしたいと志すようになったのだって、若き日に「映画」という表現方法に出会ったことに起因しています。

そう考えると、フランス映画社とともにあった青春が今の自分をつくった、と言っても過言ではないかもしれません。
なんだか一抹の寂しさを感じる秋の夜でした。

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「意識高い系(笑)」をつくったのは誰か

どうも。英司です。
ハロウィンも終わり、街は少しずつ冬の気配を見せ始めた最近ですが、いかがお過ごしでしょうか。
僕の方は公私ともにいろいろと忙しい時期が重なりまして、なかなかブログを更新できませんでした。

1ヶ月以上空いてしまいましたが、またボチボチやっていきます。


■「意識高い系(笑)」というスラングについて

最近、常見陽平さん著の「意識高い系(笑)という病」を読んでいます。


「意識高い系」という病~ソーシャル時代にはびこるバカヤロー (ベスト新書)「意識高い系」という病~ソーシャル時代にはびこるバカヤロー (ベスト新書)
(2012/12/08)
常見 陽平

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※意識高い系(笑)とは、大学生の就活におけるネットスラングで、冷静に見ると滑稽なほど前のめりであったり、身の丈に合っていないセルフブランディングばかりに熱中して中身が伴っていない人たちのことを指しており、ベンチャー系人材会社が「意識の高い学生が集まるイベントです」という謳い文句を多用したことから生まれたネットスラングだそうです。詳しくは以下によくまとめられています。

http://matome.naver.jp/odai/2137152302934193601


まだ半分くらいしか読んでいませんが、あるあるネタが多くて少し笑ってしまいますし、そもそも突飛なテーマが多いベスト新書から出されている本なので、常見さんもウケ狙いで出しているような本のようなので、軽快なタッチが愉快さを増強しています。


■自分の学生時代を思い出してみた

僕もふと、自分が学生時代、特に就活に絡むことを少し思い出してみました。
だけどそこで気づいたことは…

この本に書かれている「意識高い系(笑)」と笑いものにされている学生像は、僕が大学生だった10年前は、当時の大人たちから「優秀な学生」ともてはやされていた優等生たちそのもの

ということでした。

それを考えると、今の大学生たちから見れば一応は「大人」に見られる自分たちも、強ち笑ってばかりいてもいけないな、と思いました。


■結局「意識高い系(笑)」の学生や若い社会人は誰が生み出した?

こうした若者が多く発生する背景には、やっぱりその時代の大人の責任もなくはないと思います。自分が思春期や青春期、学生時代のことを思い出してみても、親や先生を含め、周りの大人たちは口々に「学生は気楽でいいね」とか、「働き始めると大変だよ」みたいなことばかり言っていて、社会に出ることについてポジティブな発言をする大人が、(少なくとも自分の周りでは)少数派だったように感じています。僕が高校生くらいのときからずっと、なりたい職業の1位が地方公務員だったことなどからもその時代の空気感が垣間見ることができます。

(確かに僕が学生時代を過ごした90年代~00年代中盤は、本当にずっと不景気で、当時の大人たちはリストラの恐怖に怯えながら今よりもストレスフルな生活を送っていたことも関係しているとは思いますが)

「社会は厳しい」「学生は気楽でいい」

こういうことばかり周囲の大人から言われ続けていると、知らず知らずのうちに社会人になることへの恐怖心が芽生えていき、必要以上に身構えてしまう。自分を大げさに取り繕うことで、その恐怖心を打ち消そうとする。

こうした心理が働いて「意識高い系(笑)」に陥ってしまっている学生さんもいらっしゃるのではないでしょうか。


■自分が社会に出てみて思ったこと

僕も今年は社会人8年目。30歳になる年代です。8年の間に転職も経験し、複数の職種も経験しました。いろいろと忙しい毎日ではありますが、結論から言って、学生時代よりも29歳の今の方がずっと楽しいです。

怪しい自己啓発セミナーに登壇する人のように、「社会人の毎日はバラ色です!」なんてことを言うつもりはありません。

ぶっちゃけると、社会人1年目の時なんかは「ああ、学生時代は気楽で良かったなぁ…」と思うこともありましたし、辛い経験もたくさんありました。リーマンショックのときも世の中は大変混乱していて、「学生時代は守られてて楽だったなぁ」と思うこともありました。正直なところ。

それに、僕自身学生時代は「意識高い系(笑)」ではなかったものの、「意識高い系」でもありませんでした。

当時は日本の大企業がインターンシップを導入し始めた頃で、1年生や2年生の頃からそういったものに参加したり、就活イベントをハシゴしたりする学生が「スゴイ」とか「勝ち組」と持て囃され、大学や当時の大人たちもそういった風潮を助長、奨励する立場だったと記憶していますが、僕自身どうしてもそういうものにはあまり興味を持てませんでした(もちろん、人並みの就活はしましたが…)。

それよりは、翌日のことも気にせずに友人と飲み明かしたり、所属していた映画サークルで映画を作ったり、平日の昼間から小劇団の演劇やミニシアター映画を見に行ったり、おおよそ実社会では役に立ちそうもない哲学家や思想家の先人たちの本をゆっくり読んだり、いろいろなアルバイトをしてみたり、一人でフラっと旅行に行ってみたり…。

1、2年生の時からバリバリに就活を意識した、当時流行りの「勝ち組」的な学生ではなかったものの、平凡だけど充実した学生生活でした。


■一生にはその時その時にしか経験できないこともあると思う

基本的には、滑稽にならない限りにおいては意識が高いこと自体はそこまで批判されるべきことでもないと思いますし、概ねいいことだと思います。意識が高い行動そのものに生きがいややりがいを感じて学生生活を送っている学生さんは、思い切りそれを楽しめば良いと思います。

ただ、もしその「意識が高い行動」が、社会に出ることに対する過度の恐怖心から来るものであるならば、それは少しもったいないことだと思いますし、ついつい若い学生の前で「学生はいいね~」なんて軽々しく言ってしまうことのある僕達大人サイドは反省の余地もあるのではないでしょうか。

積極的に社会人との接点や人脈を作ることも、就活イベントや講演会をハシゴすることも、決して悪いことではありませんが、社会人になれば社会人との接点なんて毎日ありますし(笑)、人脈なども少し意識すれば自動的に広がっていくものです。(というか、学生が社会人との人脈を作ろうとするよりも、遥かに少ないパワーと意識で人脈を広げることができます。ましてやゲイの場合は特に)

そうした「恐怖心」によって、学生時代にしか体験できないことを経験する機会が阻害されているとしたら問題だと思いますし、なんとなくそういう若い子は少なくはないんじゃないかなと思います。

彼らには、どこかのベンチャー社長とかそういう極端な成功例ではなくて、「いろいろあるけどなんとなく楽しく暮らしている」という"中間層"の大人像が大事なのではないかと。

そして大人サイドも、働くことの辛い部分ばかり強調せず、恥ずかしがらずに「社会人って案外楽しいもんだよ」と言える人が増えるといいのではないかな、と思いました。


と、常見さんのネタ本とはわかっていつつも、まぁいろいろ考えさせられる内容ではありました。




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「雇用流動化」の別の側面―サイバーエージェント 藤田社長の騒動を受け

どうも、英司です。ついに10月に入ってしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。僕は来週中頃から少し多めにお休みをいただきまして、バンコクとプーケットに一人旅に行ってまいります!
まだまったく準備をしていませんが…笑。8年ぶりのタイ、とても楽しみです。

■サイバーエージェント 藤田社長がお怒りです

先日10月1日に日経電子版に掲載された、サイバーエージェント代表取締役の藤田晋さんの記事が各方面で物議を醸しています。

参照元:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO77749270Q4A930C1000000/


要約すると…

以前、プロジェクトの失敗で数億円の損失を出した従業員がいたのですが、サイバーエージェント社の大事にしている考え方の一つに「挑戦した敗者は復活できる仕組み」があります。

そのため、別の新規事業立ち上げの際、彼にその責任者を任せたのですが、彼は突然仕事を放り出すように辞めてしまったのです。しかもその転職理由が「他社からのヘッドハンティングだった」という点に藤田社長はもうカンカン。

記事は、個人や関係する企業が特定されかねない内容となっており、それでも藤田社長は「こんなことをされたらサイバーエージェントの再チャレンジを容認する価値観が維持できなくなる」と言い、

「大勢の社員を率いる立場として、組織の未来のために、あえて毅然とした態度をとったのです。(略)今回の件に限らず、会社としての価値観や姿勢を見せるための『一罰百戒』は、経営していく上で必要なことだと思っています」


こう締めくくり、今回の激怒は威嚇行動的なものであり、意図的なものであることを示しています。


■この内容に対するネット上でのリアクション

今回は「転職」という人生における大きなテーマを、今をときめくベンチャー社長が発信したことから様々な反響が来ています。

ほとんどの識者が、「藤田さんが怒る気持ちはとてもよくわかりますが…」と前置きをしつつも、「社員が他社からヘッドハンティングされたことに怒り狂うような記事を自分から書いていては、自社に魅力がなかったことを発信しているようなもの」という意見や「億単位の損失を出したのはあくまで会社の責任であって、当該の転職者の個人攻撃をするのはおかしい」といったような、藤田社長への厳しい意見が多数でした。

うーん、藤田社長が怒り狂う気持ちは理解できますし、日々収支のバランスや世の中のこと、従業員のことを一生懸命考えているからこそ、湧いてきた怒りなのかもしれません。

そういう点で、人としての藤田社長に非常に同情する面は大いにあると思います。
(サイバーエージェントの藤田社長と言えば、めったに怒らない人ということでも有名なようですし…)

ただ、退職するのは個人の自由で、法的には退職の意向を示してから2週間、多くの会社は1ヶ月程度経過すれば辞められるという規定になっており、道義的責任は別として、当該社員の方がルールを違反して辞めたわけでないのは確かなこと。

居酒屋の与太話ならまだしも、東証一部上場企業の代表を勤める方が、日本を代表する経済紙のコーナーで書くこととしてはあまり適切ではなかったのではないかな、とも思いました。


■「雇用流動化支持派」は、この現実を受け止める覚悟も求められる

この記事に関しての批判や評論はもうここ数日でかなり出尽くしているので、少し違った視点から考えたいと思います。

日本経団連を始め、経営者の多くが「日本の正社員は守られすぎている。これからはもっと雇用が流動化する社会にすべきだ」と政府に強く求めてきました。
(僕個人としても、基本的には雇用の流動化には賛成です。)

これを強く政府等に求めてきた経営者の方々は、雇用流動性が高い世の中になれば、生産性の悪い自社の正社員を簡単にクビにできて、人件費がカットできると考えているものと思われます。

それは確かにその通りで、その人が活躍できない場所にずっと居続けるのは、会社、従業員双方にとって幸せなことではありません。

ただ、この「雇用流動化」の議論は、これまであまりにも経営者側から見たメリットの部分ばかりにスポットが当たり過ぎていた感があります。

今回の件に関しては、雇用が流動化した社会における、経営者側から見た”デメリット”が初めて顕在化した例だったのではないでしょうか。

雇用流動化を支持する経営者の多くは、「雇用流動化≒仕事のできない人を簡単クビにできる権利」と解釈していたように思います。ただ、「雇用流動化」というのは読んで字のごとく「雇用が流動化する社会」という意味であって、もっと噛み砕いて言えば「今よりも転職することが当たり前な世の中になること」という意味です。

つまり、生産性の悪い人を簡単にクビにできるようになる代わりに、本来は会社にいて欲しい人材が他社へ流出するリスクが今よりもかなり大きなものになる側面も同時に発生するわけです。

IT業界の中でも特にWEB関連の職種は、雇用流動性が世界的に見ても非常に低い日本社会の中にあっても、突出して雇用流動性が高い業界・職種と言えますので、ある種、近い将来の日本で起きる人事トラブルが先立って起こっていると考えられるのではないでしょうか。

これまで、メリットばかりに光が当たっていましたが、「クビにできるメリット」を得た瞬間に「辞められてしまうリスク」も同時に抱えることになることが、今回の騒動を受けてもう少し真剣に議論されればいいなと思います。


■結局、ものごとはなんでもトレードオフ

結局、ものごとはなんでもメリット・デメリットがあるものだと思います。今回は「雇用流動化」の議論は経営者側から見たメリットばかりにスポットが当たっている点を指摘しましたが、同時にこの問題は「働く側から見たデメリット」ばかりにスポットが当たっていた傾向があるのも事実です。

僕は一働く側として、「雇用流動化」に関してはそこまで悲観的には捉えていません。

採用面接を受ける際、ホームページや面接の数十分だけでその会社のことが詳しくわかるとも思いませんし、ましてや新卒採用の場合、まだ世の中のことをあまり知らない学生時代に自分が働く場所を決定しないといけません。

当然、その中には入ってみてやっぱり自分には合わなかったということもあるでしょうし、最悪の場合法に触れる商売を影でやっていた、とか、労働基準法を完全無視した過酷な労働環境だった、といういわゆる「ブラック企業」に入ってしまった、というケースだって、今の時代そうそう稀なことではないと思います。

そんなときに、自由に転職ができて、自分がもっと活躍できる場所を探すことが今よりも容易になることは、僕は決して悪いことではないと思います。(今でも業界によっては転職を後ろめたいことと考えるところもありますからね)

雇用が流動化すれば転職市場も今より拡大し、能力のある人が「今の会社にいても上のポストが空かない…」と嘆いてしまう昨今の情勢も大きく変わることと思います。

雇用問題に関しては、階級闘争の時代の名残があるのか「経営者のメリット=働く人のデメリット」という構造論ばかりで議論がされがちですが、こうした階級論的な議論をそろそろ卒業し、問題をもう少し多角的な視点から検証し、双方のメリットを最大化できるような仕組みづくりを目指していきたいものですね。


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日立製作所の年功序列賃金制度廃止に思う

どうも、英司です。皆様いかがお過ごしでしょうか。
残暑もほとんどなく、過ごしやすい9月でしたね。いやはやもう10月とは…。

■日立製作所の年功序列賃金制度廃止に思う

先週あたりからテレビや新聞がこぞって大騒ぎをしている、日立製作所の年功序列賃金制度廃止のニュースですが、このニュースを聞いたとき、

「まだそんな給与体系だったんだ!」

という、別の驚きを感じました。
聞く所によると、賃金の7割を年齢に応じた、3割を業務内容に応じた給与だったんだとか…。

つまり、朝から晩までろくすっぽ仕事もしていないのに法外な給与をもらっている名誉職みたいなおじさんが社内にいたり、高付加価値を生み出すハードな業務を毎日一生懸命こなしてる人も、窓際に追いやられて何もしない人も、同年齢で同期入社であればほぼ同じようなお給料で働いているということです。

■日本は世界で最も成功した社会主義国家!?

これって、一種の形を変えた社会主義ではありませんか。
昔ある米国の評論家が、「日本は世界で最も成功した社会主義国家だ」なんて言い、「日本型社会主義」という学術用語さえ流通するくらいですから、無理もありません。

僕は比較的ベンチャー気質な人が多い広告業界や、中小企業での勤務が長いので、こうした年功序列&終身雇用はうちの父が現役時代の話で、今はもう過去のものになっていると思い込んでいました。

僕達の世代も含め、若い世代はむしろこうした年功序列や終身雇用を会社に求める傾向が強いと聞きます。ただ、今よりも豊かな暮らしがしたい!と思ったとき、

「市場ニーズが高いスキルを身につけたり、今より高付加価値の生み出せるポジションに就くために頑張ろう!」

と考えるのと、

「とにかく年齢が上がらないと給与は上がらないのだから、今は贅沢を我慢。毎日我慢して年を取ればいつか給料は自動的にあがるはずだ!」

と考えるのとでは、どっちが楽しいでしょうか。
人それぞれ好みはあるかと思いますが、僕は前者の方が楽しそうな社会人生活に映ります。

ただ、新聞やテレビなんかも一大ニュースとしてこれを取り上げ、「日本を代表する大手企業がこんなことを言い出した!大変だ!中小企業はどうなってしまうんだ…。」という論調を展開していますが、なんとまぁ悠長なことを…と失笑してしまいました。

各種ITサービスなどのような新興業界や、世の中に無数に存在する中小企業はどこも、仕事をしない人に給与を払っている余裕なんて昔からなかったし、こんなことが叫ばれるずっと前から効率性が重視される成果主義的な世界だったでしょう。

報道機関もいわゆる「日本を代表する大手企業」の一員なわけですから、自分たちの身に振りかかることかもしれないということでややセンセーショナルな捉え方をして大騒ぎをしていますが、実は世の中の雰囲気は意外にも冷静で、割とみんな「へ~」って感じ。報道機関はこの部分の乖離にまったく気付いていないように見えます。

■マスコミが本来もっと注目すべきこと

特に製造業の世界は、元請けの大手企業の雇用や賃金体制、もっと踏み込んだ言い方をすればこうした「社会主義体制」を守るために下請けや孫請けの中小企業に無理なコストカットを強いてきて、その中小企業で働く従業員たちはもっと昔から熾烈な成果主義による競争と効率化を強く求められてきたわけではありませんか。

一私企業の人事給与制度の変更に大騒ぎしながら報道する前に、こうした不均衡な業界構造にもっとポットライトを当てるのが報道機関の仕事なのではないかと思います(まぁスポンサーの問題とかで難しいでしょうけど)。

もう一つ付け加えると、今の人事戦略の基本トレンドは「ダイバーシティ」「多様性の確保」です。
様々な基本属性の、様々な業界経験のある人を積極的に受け入れ、新しいプロダクトやサービスを生み出す際に議論の活性化を生み出していこうという時代背景にありながら、そもそも中途採用社員の存在を前提としていない人事体制でやってきたことにも驚きです。

■しかし、明るい未来を示唆する出来事とも取れる

ただ、発想を逆にしてみると、これはすごく明るい未来を示唆しているとも捉えられます。
最近は韓国勢に押され気味の日本企業ですが、それでもまだまだ日本製の家電製品は世界中で高い支持を得ていて、それなりのシェアを占めています。

これだけ浪費体質の仕組みでさえこれだけ世界に製品やブランド名を轟かせることができているのですから、会社の仕組みをより効率化し、ヒト、モノ、カネの使い方をもっと適正化していけば、海外で更に躍進を遂げ、韓国勢から家電メーカーの雄の地位を日本企業が奪還できる可能性がグっと近づいたのではないかと思います。

今回の思い切った人事給与制度の改定がどのような効果を生み出すか、注目していきたいですね。

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いらっしゃいませ!英司と申します。中央線カルチャーが好きで、東京・高円寺に在住の会社員。日々感じたことから、少し役立つ(?)情報まで、いろいろ発信していければと思います。

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