【映画レビュー】『The Lady―アウンサウンスーチー 引き裂かれた愛』

どうも、英司です。
いよいよW杯が始まりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。初戦は残念な結果でしたが、ぜひ次へ活かして欲しいですね!

引き続き日本代表選手を応援していきたいと思います。

■久々の映画レビュー

そんなわけで、最近はだいぶお休みをしていた映画レビューを書きたいと思います。

本日ご紹介するのは、この週末DVDで見た映画

『The Lady―アウンサンスーチー 引き裂かれた愛』




この系統の映画を見てここまで感銘を受けたのは久々でした。
いわゆる史実を元にしたノンフィクションものですが、日本ではスーチーさんの名前はよく報道がされるものの、ミャンマーの軍事独裁政権の実態はあまり詳細に報道されていないようにも思います。

なので、初めて知ったような出来事も多く、とても衝撃的な映画でもありました。

■あらすじ(ネタバレあり)

英国人の旦那さんと国際結婚をし、オックスフォードにて旦那さんとお子さんに囲まれて平和で幸せな生活をしていたスーチーさんでしたが、スーチーさんのお母さんの病状が悪化したのをきっかけに、ミャンマーへ一時帰国。それが1988年のことでした。

そこで見たのは変わり果てた祖国の姿でした。

軍事独裁政権による恐怖政治、弾圧、迫害に苦しむ市民たちの姿と、傲慢な兵士たちによる市民への暴力、そして日常的に起こる虐殺。

母の入院する病院にまで兵士たちが乗り込んできて、デモ活動をしていた市民を殺しにくるシーンなど、非常に痛ましい。兵士たちの「俺らにはお前らを殺す権利がある」というセリフを聞いたスーチー氏。

そして街のあちこちで繰り広げられる民主化を求める市民によるデモ活動を見ると、そこに参加する人々はある写真を掲げています。

その写真の人物こそ、ミャンマー独立運動の指導者で、スーチー氏の父、アウンサウン将軍でした。

アウンサウン将軍はミャンマー独立後、欧米や日本のような民主主義国家の建設を計画していましたが、スーチーさんがまだ幼い頃、独裁政権の樹立を目指す勢力に暗殺されていました。
そのアウンサウン将軍は、民主化を求める市民たちにとって英雄のような存在になっていたのです。

アウンサウン将軍の娘が一時帰国しているらしいという噂は瞬く間に街中に広がり、スーチーさんが滞在していた実家には毎日のように市民が訪れ、「今この国を救えるのはあなたしかいない」と、ミャンマーに残ることを嘆願。

祖国の惨状と弾圧された民衆たちの姿を見てしまったスーチーさんは、ミャンマーに残り、民主化運動に合流することを決意。しかしここからが苦難の人生の始まりでした。

そのとき、一緒に滞在していた英国人の夫が突如ビザを取り消され、強制的に帰国させられたり、スーチーさんに会っていた市民を「危険人物」と指定し、政権は次々に殺害をしたり、強制労働所へ送るなどしていきます。

この辺りの描写は、恐らく現実に忠実なものだったかとは思うのですが、北朝鮮も驚くほどの残虐さです。

長く辛い自宅軟禁生活が始まり、24時間軍に監視される生活。
また、突如息子たちのミャンマー国籍が剥奪され(英国は多重国籍を認めているため、息子さんたちは英国籍とミャンマー国籍の2つを持っており、自由にミャンマーに入国できた)、もう息子たちにも会えなくなってしまいます。

夫も何度ビザの申請を行っても断られるようになり、事実上ミャンマー政府はスーチーさんを家族から遮断。何年もの間、家族と連絡が取れない状態が続きます。

そんな折、スーチーさんにノーベル平和賞が授与されます。代わりに賞状を受け取った長男の立派なスピーチをラジオで聞きながら泣き崩れるスーチーさん。

その後、日本政府なども映画に登場し、ミャンマー政府に圧力をかけたことで一時自宅軟禁は解かれます。しかし相変わらず家族とは引き裂かれたままで、何かにつけてミャンマーの独裁政権は難癖をつけて自宅軟禁と解除を繰り返す日々。

そんな折、英国の旦那さんが癌に罹っていることが判明。もう余命も数ヶ月だというのです。この時ミャンマー政府からも英国に帰国するように強く薦められ、気持ちが揺れ動くも、英国の旦那さんは言います「それは罠だ。君が英国に帰ったら、もう永遠に君をミャンマーに入国させないつもりだ。ここに来てはいけない。ミャンマーに残って祖国のために頑張ってくれ」と。

そうして結局旦那さんの死に目にも立ち会えず、失意の底にいるスーチーさんでしたが、軟禁状態でありながらも情報を発信し続け、海外からもその運動が知られるようになり、欧米や日本からの圧力に屈する形でミャンマーでもついに民主的な選挙が行われることに。

当然のことながら軍事政権は大敗し、スーチーさん率いる国民民主連盟が多くの議席を獲得。しかし、軍はこの2014年にいたるまでまだ政権の座にしがみつき、反対する市民を殺害し続けています。

数えきれないほどの市民を虐殺してきた軍事政権がスーチーさんを生かし続けるのは、もしスーチーさんを殺害すると父と同様に英雄となり、国民が蜂起することが目に見えているから。

民主化運動の指導者としての印象が非常に強いスーチーさんでしたが、この映画では誰かの妻として、誰かの母としての側面も非常によく描かれており、何より、自動小銃で武装した兵士たちを相手に言論と非暴力的な方法でのみ立ち向かっていく姿は、ニュースなどで見るスーチーさんのイメージだけでは知り得ない側面だった気がします。

また、軍事独裁政権の腐敗ぶりはあまりにもひどく、しかもこれは過去の話ではなく、21世紀になったこの現在でもずっと続いていることだということが信じられないし、悲しい気分になります。

日本では、日本に敵対心があるという理由から北朝鮮の内情がよく報道されていますが、ああいった体制の国家が他にもたくさんあるということですね。

先進国に生きる人間には想像もつかないような人権侵害が公然と行われている国が、いまだにこの世界にはたくさんあるということでしょう。

事実は小説よりも奇なりという言葉もあるくらいですが、作り物のフィクションよりもある種のドラマチックさを持った作品です。
普段はアクション系映画のイメージが強いミッシェル・ヨーの熱演も見どころです。


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英司

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いらっしゃいませ!英司と申します。中央線カルチャーが好きで、東京・高円寺に在住の会社員。日々感じたことから、少し役立つ(?)情報まで、いろいろ発信していければと思います。

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