日本でLGBTビジネスは成立する?

どうも、英司です。
本日からいよいよ梅雨入りだそうですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

いやはやこの梅雨が空ければ夏ですね。
今からとても楽しみです!!

■日本でLGBTビジネスは成立する?

ずっと前に「LGBT市場は本当に存在する?」というエントリを書かせていただきました。
今回はその続編的位置づけです。

※注意!!けっこう夢のない話しになりそうです(笑)※

ここ数年、LGBT向けのあらゆるビジネスを見てまいりました。
その中で、現段階での自分なりの一定の見解を書きとどめておきたいと思います。

僕の解釈では…

日本でも、LGBT市場は存在するが、LGBTビジネスは成立しない。

というのが現実的見解ではないかという考えに至りました。

以前から折にふれて話題にあげてきましたが、一般的に多くのゲイは何歳になっても独身男性と同じ金銭感覚ということになりますから、仕事での収入が上がって本来子育てや養育費にかかるようなお金も、自身への投資やファッション、娯楽、旅行、カルチャーなどへ使うお金が比較的多くなる傾向があるという話題を何度かこのブログでもさせていただきました。

これが一世代前であれば、結婚圧力が強く、会社によっては結婚しないと昇進できないだとか、親戚から浮いてしまうだとかいう話もあり、世間体を気にした望まない結婚をする人も少なくなかったようで、自分のセクシュアリティに正直に生きる人の割合は今と比較して低く、また正直に生きるにしても独身男性が消費や娯楽に多くのお金を使うことに対して世間の目も厳しく、今ほど自由に堂々とはできなかったのではないかと言われています。

ただ、徐々にそういった価値観は変化し、世間体を気にした結婚よりは、自分らしく生きることを選択する方が一般的となり、現在はセクシュアリティに関係なく結婚するかしないかということも個人の自由な意志決定で行われるべきで、年配者などは内心どう思っているかは知らないけど、一応建前上、結婚の有無で昇進や昇格を判断したり、人間性の良し悪しを決めつけるのはよくないことだ、という"建前"はできつつあります。

こうした時代の訪れとともに、自由な消費活動を行うLGBT(と言ってもこの場合ほとんど正規雇用の男性同性愛者)の経済学的な視点からのアプローチがここ数年くらいの間に非常に活発になり、大手のシンクタンクなどが軒並み「日本国内のLGBT市場は●●兆円規模」なんて調査結果を発表するなど、にわかに盛り上がりを見せていました。

こうした調査結果を受け、数年前からこのLGBT市場という巨大なブルーオーシャンを狙った資本の動きが活発化。あらゆる分野において「LGBT専用」とか「ゲイ向け」のなんちゃらっていうサービスが生まれていきました。

ただ、これらの動きは最近は沈静化し、下火になりつつあります。
その理由は単純明解で、「商売が成り立たなかったから」というのが最大の理由です。

■ゲイは都合の良いお客さんじゃなかった

確かに、可処分所得が同年代の既婚男性よりも多く、ファッションやアート、カルチャーの分野にかけるお金も多いゲイというのは、企業側から見れば非常に良いお客さんのように写ったのでしょう。

なので、「ゲイ専用●●」なんていうものを作ったら、簡単に多くのゲイが飛びつき、支持され、多額の儲けを出せると考えたのでしょう。

ただ、そのほとんどは多額の儲けはおろか、多くのゲイには支持されず、ひどい場合は話題にも登らずに消えて行ってしまった。

「ターゲットも明確に定め、広告やPRもちゃんと戦略を立ててやったのにどうしてダメだったんだ…」

と頭を痛めるPR担当者も多かったかと思います。ただ、これには非常に根本的な誤りがありました。それは、思っていたほどゲイは都合の良い消費者ではなかった。ということです。

つまりどういうことかと言いますと、これを「ゲイ」と限定するから話がわかりづらくなるので、「ゲイ」という母集団を行動経済学的に定義してみたいと思います。すると…

「同年代の既婚者よりも可処分所得が多く、趣味にかける金銭的・時間的余裕が比較的あり、これまでにも娯楽や趣味に関する消費行動をたくさん行ってきた独身男性たち」

ということになるかと思います。

もうおわかりいただけたかと思いますが、こうした母集団をマーケティング対象として考えたとき、もう誰も絶対に新規参入なんかを考えない超レッドオーシャン層であるということです!

少しでもマーケティングやPRをかじった人であれば、こんな激戦区に新規参入サービスが勝てるわけがなく、仮に市場に食い込むためには、もう天文学的数字の資金投入が必要になるくらいの最難関市場と言えます。

消費行動に非常に慣れた人たち、ということになりますので、当然良いものに対する目利きや新しいもの、楽しそうなものへの情報感度もかなり高い。

また、こうした消費行動に慣れている層の人たちであればあるほど、結果として例え同じ商品の購入を決めたとしても、誰かに提供された限定的な選択肢の中からその商品を選んだのと、無数にある混沌とした情報の中から自分の意志でその1つの商品を選びとったのとでは、満足度や納得感がまったく違います。

その主たるものが「旅行」でした。

これまで、LGBT市場の議論が起きるたびにいくつも「ゲイ限定の旅行サービス事業」というのがあちこちに立ち上がりました。

僕自身も旅行はとても好きですし、僕の周囲の友達も旅行が大好きな人がとても多いです。肌感覚ですが、ゲイは旅行好きがとても多い気がします。だからこそ、LGBT市場を狙った旅行事業を行う事業者が多数現れたのも理解できます。

しかし、ビジネスとして成立し、継続的事業として収益化した例は日本では確認されていません。

それもそのはずです。ゲイで旅行好きな友人たちの多くは、パックツアーなどではなく航空券やホテルを別々で手配する個人旅行・自由旅行と呼ばれる形式の旅行を楽しむ人がほとんどで、事前に観光スポットから現地のゲイが集まる場所まで口コミやネットなどで細かく調べていますよね。

こうした旅行は回を重ねるたびに味をしめて上手になっていき、どんどん自分好みのハンドメイドな旅行を自分で組み立てるようになっていきます。中にはあらゆる国の飛行機に乗ってみたいからと、敢えて行く先の国の航空会社からしかチケットを買わないという人もけっこういるし、乗る飛行機の機体にまでこだわりを持って、「今度あそこへ行くの、A380で行くんだ~」なんていうちょっとオタッキーな会話をする旅行好きのゲイの会話なんかもしょっちゅう聞きます。

ゲイの旅行市場の現実は、これくらい飽和・成熟した市場なので、ここで勝負できる方法は2つ。

1つ目は、よほど先進的で誰も聞いたことのないような情報を提供できる事業者がゲイ向けに旅行を企画提案する。

ただ、これは現実的に非常に難しいと思います。旅行に行くときのゲイと言えば、事前に一般的な旅行サイトをチェックするのはもちろんのこと、実際にその国や地域に行ったゲイの人の個人ブログまで細かく調査し、2泊や3泊の滞在期間に少しでも最大限楽しめるように非常に敏感な情報アンテナを立てています。

すでにかなりの情報収集力を持っているその層に対して新たな情報を提供するというのは、少し現実的ではないと思います。


2つ目は、現在の市場に出回っているよりも非常に低価格で同じサービスを提供すること。

レッドオーシャン戦略でもっとも安全牌なのがこれ。他社よりもコストカットし、例え利幅を狭くしてでも薄利多売で体力勝負で頑張る。という単純な戦略です。

ただ、これも現実的ではないでしょう。
エクスペディアやアゴダと言ったサイトを見ると、すごくいい雰囲気の海外のホテルが驚くような値段で予約ができます。
また、最近では近隣の国にはLCCを使えば数千円で行けてしまう時代です。JALやANAの大手キャリアや新興の中堅航空会社もこれに危機感を抱いており、チケットは叩き売り状態(実際僕も今月に韓国に行きますが、週末を挟んでも片道7500円という破格値です)。

そのたたき売り状態のチケットを更に旅行会社が大量購入して、より安い値段で市場に出すなど、旅行業界は今、これ以上の価格破壊が起きたら業界全体が疲弊して共倒れしてしまうほどの消耗戦に入っており、ここで価格で優位に立とうとするのはほぼ不可能です。


つまり、日本の市場で言う「LGBT」とくに「ゲイ」の世界で支持されるサービスや商品はひどく難易度が高いものであり、従来の商品やサービスに「ゲイ専用」という接頭語をつけても、多くのゲイはまったくピンと来ないどころか、むしろそうした限定的な情報の中からではなく、無数にある従来のサービスの選択肢の中から、自分の好きなものを選んだ、という満足感を得たいと無意識的に考えている。

特に日本の場合、欧米のような強烈なカップル文化の価値観が存在しないため、高級レストランやホテルのパーティなどに1人や友達同士で訪れても、誰もなんとも思いませんし、ゲイであるが故に受けられないサービスというものがほとんどない。

最近は結婚式でさえ、お金さえ払えばやらせてくれるところも増えています。

これが、ゲイであるがゆえに受けられないサービスや購入できない商品があったとして、そこで初めて「ゲイ専用」のサービスであることに意味が出てきます。

つまり、日本には非常に莫大なゲイ市場があるにもかかわらず、ゲイビジネスはなかなか成立しないというのが現実的な見解ではないのでしょうか。


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英司

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いらっしゃいませ!英司と申します。中央線カルチャーが好きで、東京・高円寺に在住の会社員。日々感じたことから、少し役立つ(?)情報まで、いろいろ発信していければと思います。

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