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同性パートナー証明書発行 ゲイ当事者はこう見た

どうも、英司です。日に日に寒くなっていく最近ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。僕は今年もパートナーのいないクリスマスを覚悟しつつ(笑)、友人たちと冬の計画を立てています。

今日は2015年11月5日に発行が始まった日本で初めての試みとなる渋谷区の、いわゆる同性パートナー条例におけるパートナー証明書について私感を書きたいと思います。

■まずは渋谷区の、同性パートナーシップ条例についてのおさらい

いわゆる同性パートナー条例の正式名称は「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」といいます(以下「同性パートナー条例」と呼ぶことにします)。

この条例により同性パートナー証明書が発行される2015年11月5日は日本の同性愛者にとって歴史的な1歩に!……なるはずでしたが、この条例については条例案が議題に上がった当初から、ゲイコミュニティ内でもやや冷ややかな見方をする方も多く、そこに異性愛者側の反対運動なども起き、物議を醸し出した条例でした。

当事者である同性愛者さえこの条例を冷ややかに見た理由としては、これまで世田谷区など、LGBTについて活発な議論を繰り返して来て、LGBTが抱える諸問題について造詣の深い議員さんがいらっしゃる議会でさえ、何年もかけて慎重な議論を繰り返してきた同性愛者向けのパートナーシップ制度。それなにの、これまでそういった議論が活発に行われてきたことなど聞いたこともない渋谷区で、かなり唐突に、しかもマスコミ向けに派手にぶち上げられた同条例案に関して、一種の「怪しさ」や「胡散臭さ」と言った、「何か裏があるのではないか」というような印象を持った当事者が少なくなかったという背景があります。

時同じくして、各種経済誌などが「LGBTマーケット」特集を組み、明らかにLGBTになどこれまで何の興味も示してこなかったBtoC向けプロダクトやサービスを持つ企業などが「LGBTフレンドリー宣言」を行うなど、露骨にLGBT(特に同性愛者)の財布を狙った世の中の動きに対して、「ほら見ろ、やっぱりこういうことだよ」と冷めた反応を見せた同性愛者が多かったということです。

そもそもLGBTフレンドリー宣言をしたからと言ってサービスやプロダクトに何かしらの変化が加えられたわけでもなく、そういった宣言をすれば自然とLGBTが自社製品を選んでくれると安易に考える企業の姿勢などにも辟易した同性愛者も多かったように見受けられます。

この条例にはそういった一種の「商売気」のようなものを強く感じた当事者の多くは、同条例に懐疑的になったり、そもそも興味すら示さなかったりということが起きていました。

■申請と発行に8万円!? 渋谷区のパートナー証明書の実態

そんな中、11月5日のパートナー証明書の発行を前に、SNSを中心に俄かにこんな噂が流れ始めました。それは、渋谷区の同性パートナー証明書の発行には、8万円もの費用がかかる、というもの。

この件を耳にしたとき、筆者もあまりにヒドイ差別的扱いだと感じましたし、ヘテロセクシュアルの方々が婚姻届を提出するに費用がかかるなど聞いたこともありません。

前段の経緯もあり、これって困っているマイノリティの足元を見て、世にはびこる差別を利用してお金儲けを企んでいるように見えましたし、こうしたやり方は、少し前に横行した「貧困ビジネス」の変形版のようにも思えてきました。

LGBT市場やLGBTビジネスという言葉が、当事者不在なところで一人歩きしていた昨今、ヘテロセクシュアルに認められていて、我々同性愛者に認められていない権利を金で買わせる。これは筆者が受けてきたどんな差別よりもひどいものに感じましたし、この条例はむしろ、日本の同性愛者の人権を大きく後退させるものにさえ思えてきました。

世に言われている「LGBTビジネス」というものが、まさかこんなものだったなんて…。強い落胆と怒りを覚えた次第であります。

■同性パートナー証明書の発行が無料の世田谷区

一方、11月5日同日に同性パートナー証明書の発行が始まったのが世田谷区。世田谷区の場合、条例化はされていないため後ろ盾は乏しいものの、2人が同性カップルであることを宣誓すれば、無料で証明書を受け取れる行政サービスを開始しました。

11月5日、片割れが元タカラジェンヌのキラキラカップルを前面に出し、マスコミを多数呼んで「同性パートナー証明書発行第1号」を大々的に発表した渋谷区とは対照的に、世田谷区のそれはマスコミ向けの発表は実に簡素なものでした。

同じ内容の証明書の発行に、なぜここまで差があるのか筆者も気になったので、少し詳しく調べてみることにしました。

■渋谷区に必要な8万円の金額の内訳

渋谷区と世田谷区の決定的な違い。それは渋谷区では同性パートナー証明書の発行に公正証書の提出が必要で、世田谷区の場合2人の宣誓のみで発行が可能という点。

この「公正証書」というのが随分厄介なものでした。調べてみても法律の専門用語ばかりで、頭の悪い筆者には理解不能な説明も多かったのですが(笑)、要は片割れが亡くなったときの財産分与をどうするか、とか、病気で入院したときに家族として面会ができる、とか、ヘテロセクシュアルの方々が婚姻届を提出することで一発で得られる様々な権利を一覧にして、公証役場に提出し、法的効力を持たせるというもの。

この公正証書の作成というのが実は非常に複雑な作業で、お金もけっこうかかる、というわけです。実際に調べたところ、これらの作業を全部自分たちで行った場合でも最低で5万円~10万円程度の費用がかかることがわかりました。(どこまでの権利に法的効力をもたせるかによって金額が変動します)

しかし、筆者のように「そんな作業は自分でやれないよ~」という人の場合、行政書士などの法曹関係者に頼ることになります。そこでの依頼料が更に上乗せされることになり、そうすると軽く20万円は超える計算に。

これらの公正証書を作成してようやく渋谷区に証明書を申請。証明書の発行には渋谷区役所に300円の手数料を支払い、やっとパートナー証明書を手に入れることができます。

違う見方をすれば、我々同性愛者は、ヘテロセクシュアルの方々が婚姻届を提出すればその瞬間に一発で認められる諸権利を社会生活で獲得しようと思ったら、これだけの作業とお金が必要になるということですね…。差別とまでは行かないまでも、もともと我々のような人間の存在を前提としていない法制度というものの限界も改めて感じました。

■世田谷区と渋谷区、一体どちらが同性愛者のニーズに合っているか

ここで勘の良い方はお気づきでしょう。

自分たちで公正証書を作り、婚姻で得られる諸権利をしっかり得てから同性パートナー証明書の発行を区に申請……これって、同性パートナー証明書そのものには特に何か効力があるわけじゃないじゃん!ということです。

悲しいことに、その読みは「正解」なのです。

渋谷区の場合、同性パートナーであることを理由に不動産を貸さない等の差別的な扱いをした場合、その事業者を区が公開する制度があるそうですが、これは公開のみで特に罰則規定もありません。

世田谷区のパートナー証明書に至っては、何か差別的な扱いを受けたときにその証明書を見せ、配慮を「期待する」ためのものであり、効力という面に関しては渋谷区のものよりも弱いのです。

そもそも、ある新聞社が渋谷区内の不動産会社数件にインタビューを行ったところ、「同性愛者であろうがお客さんはお客さん。最近はルームシェアをする若者も多いし、都会に出てこない若者も多くて部屋の方が余っているような状況で、同性愛者であることを理由に入居を断るなんてことはしたことがないし、今後もするつもりはないのに…」という旨の内容を困惑気味に語っていたのが個人的には非常に印象的でした。

公正証書の作成という高いハードルがあるが、法的契約関係を結んでいる渋谷区と、法的契約関係は発生しないが、パートナーとして証明書のみはしてくれる世田谷区。どちらが同性愛者のニーズに合っているのでしょうか。

筆者個人的には、世田谷区の方法の方がニーズには合っているのではないかと思いました。世田谷区の場合は、法的契約関係を欲しているカップルは、パートナー証明書とは別に自分たちで渋谷区と同じように公正証書を作成すればいいわけですし、パートナーとしての証明だけで良いという当事者たちは、無料の証明書のみを発行してもらえば良い。ここの選択ができる方が柔軟にニーズに対応できるのではないでしょうか。

■この件で浮き彫りになった現行制度の限界

それにしても今回の件で思ったのは、ヘテロセクシュアルが婚姻届を提出すれば一発で認められる権利を獲得するのに、私達は実に複雑な作業と多大な金額がかかるということ。

同性婚の賛否はいろいろあると思いますが、法律や行政の仕組みがやはり我々のような存在を前提としていないというのは、ある時大きな歪みとなって顕在化するということがよくわかった一件でした。

この件にかかわらず、私たちもより多くの選択肢の中からライフスタイルを選べるような、より良い世の中になっていけばと思った次第でした。



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